バーベルフルスクワット|膝や腰を痛めないコツやパワーラックの使い方も解説


前回は自重でのフルスクワットとダンベルフルスクワットの方法を紹介しました。今回はこれらのスクワットに物足りなく感じてきた方に、バーベルを使ったフルスクワットについて解説します。

この記事ではバーベルフルスクワットについてより理解していただくために

  • フルスクワットのおさらい
  • パワーラックの使い方、バーベルを扱うときの注意ポイント
  • バーベルフルスクワットやり方

について触れたあとに、トレーニー達が使用している、膝や腰を痛めないためのスクワットサポートギアを紹介します。先におすすめのスクワットの補助具を知りたい方は「スクワットをサポートするトレーニングギア」からチェックしてください。

Contents

パワーラックでバーベルスクワットをおこなうときの注意ポイント

バーベルスクワット

 

バーベルスクワットを行うときには、体に合わせてバーをセットするラックやバーベル落下防止のセーフティーバーの高さを決めなくてはなりません。

 

バーベルスクワット パワーラック
  1. 高さを調整するのはラックのサイドにあるピンです。まず、これを引っ張り、バーをセットする部分を上げたり、下げたりして高さを決めましょう。
  2. 次にウエイトプレートをバーにセットします。このとき重要なことは、必ずプレートを両手で持って運ぶこと。片手で持った場合、滑って落としてしまうこともあります、足の上に落としたりすればケガは避けられません。
  3. そして、最後にプレートをセットします。しっかりと両手でプレートを持ってバーのサイドに立つ。そして、プレートをバーを中央の穴に差し込みます
  4. プレートが落ちないようにカラー(留め具)をつけて完成。

最初にバーの右側にプレートをセットしたら、次は必ず左側にセットする。特に複数枚のプレートをセットするときは、必ず左右交互に1枚ずつ嵌めていきます。

理由は、片側にだけプレートを嵌めていくと荷重が偏り、重量によってはバーがラックから傾いて落ちるからです。ご想像の通り、これもケガに繋がります。

重量物を扱うフリーウェイトでは、安全を第一に考えていきましょう。

パワーラックを使ったバーベルフルスクワットにチャレンジ

How I Got A Deeper Squat

ここからはパワーラックを使ったバーベルフルスクワットのやり方を解説します。バーベルの担ぎ方は、腰への負担が少ないハイバーで解説します。バーベルフルスクワットをおこなう前に、太もも、お尻、肩回り、足首のストレッチをしておきましょう。

動画4:32以降のトレーニングフォーㇺをご参考ください。

バーベルフルスクワット前の準備、ラック、セーフティーバーの高さを設定

バーベルフルスクワット 膝

最初にラックやセーフティーバーの高さを調整します。高重量を扱うバーベルスクワットでは、重さを支えきれない場合に腰を痛める原因になります。ケガを避けるために、バーが一定以上に下がらないようセーフティーバーをセットしましょう。

  • バーの後方に立つ
  • 鎖骨の高さにラックを調整し、バーをセットします
    (あまりに高い位置に設定すると、バーをラックに戻しにくくなります)
  • 膝よりも若干高い位置にセーフティーバー設定します

バーベルを戻すラックとセーフティーバーの位置を設定したら、ウエイトプレートをセットしないでスクワットをおこないます。ここでラックやセーフティーバーの高さが合っているのか確認しましょう。

バーベルフルスクワット|バーを握る手幅の調整

バーベルフルスクワット 膝

ラックにセットされているバーの前に立ち、バーを握ります。

  • 握る位置はバーの中央から左右対称
  • 幅は肩幅の1.5倍ほどを目安に握りやすい広さに調整します

バーベルを握る手幅は、人それぞれ握りやすい幅が違ってきます。例えば、肩関節が硬く手があまり後ろにいかない方は、手幅を広めにした方が握りやすいですし、逆に、肩の柔軟性がある方は、ある程度手幅を狭くした方が背中をホールドする感覚が得やすいです。

しっくり握れる感覚は個人差があるので、ご自身に合った手幅を見つけてください。

バーベルフルスクワット|バーをハイバーで担ぐ

バーベルフルスクワット 膝
  • バーベルを担いで肩甲骨を引き寄せて、僧帽筋を盛り上げる
  • 盛り上がった上部と、首を下に向けたときに一番飛び出る骨の下あたりで担ぐ
    (首の後ろをグリグリ当ててしっくりハマる位置を見つけましょう)

バーベルフルスクワット|足幅と膝の向き

バーベルフルスクワット 膝
  • ハイバーで担いだ後、後ろに下がって脚を肩幅より少し広めで立ちます
  • つま先と踵の角度が外側に45度くらいに開く
ポイント
※膝が極端に内側に入ると、膝に負担が集中し、ケガの危険性が高くなります
※股関節周辺のつまりが解消され、お尻を沈めてからの立ち上がりが楽になります
バーベルフルスクワット 膝

つま先と踵の間をバーが上下するので、重心を足の真ん中にくるように意識します。

  • 踵に重心が偏ると、後ろに倒れやすくなりケガに繋がります
  • つま先に重心が偏ると、バランスを崩したときに背部が急に重心を支えようとして、過度な負荷を腰に与える

これらを踏まえると、足の真ん中の上に重心が乗っていた方が体が安定しやすいと考えられます。

バーベルフルスクワット|姿勢を維持するために腹圧をかける

スクワット 腹圧

バーベルスクワットでは、重量に対してフォームが崩れないよう「腹圧」をかけて、しっかりとウエスト回りを固めていく必要があります。

腹圧については「パワーベルト|トレーニングベルトのおすすめのメーカーや使い方、効果と選び方まで解説」の記事の「1-1.腹圧とは」をご参考ください。

腰痛を回避する方法は、筋トレBig3の「デッドリフト」にも応用できます。この機会に腹圧のかけ方を身につけておきましょう!

バーベルフルスクワット|しゃがみ始める

バーベルフルスクワット 膝

バーベルを担いだら次にしゃがむ動作にになります。肩甲骨を寄せてバーベルを担いでおこないますので、この寄せた背中のラインをキープしてしゃがんでいきます。

  • お尻を後方に引きながら、膝を曲げてしゃがんでいきます
  • バーベルが上下する軌道が垂直になるように意識しましょう
  • 顎を上げると腹圧が抜けやすくなります
  • 膝がつま先よりも前に出過ぎたり、腰が丸くなりやすくなります
  • 目線は終始まっすぐ前に向けておく、床や足元に視線を移すと背中が曲がりやすくなる

バーベルフルスクワット|ボトムからの切り返し

バーベルフルスクワット 膝

フルスクワットはお尻が膝よりも下がることがポイントで、膝よりも深くしゃがむことのメリットは脚の裏側にある筋肉を使いきることができるからです。

膝を外に開いてしゃがんで、太ももの裏側とお尻の筋肉にしっかり負荷を感じましょう。そして、そのまま膝を開きながら立上がります。

よくある間違い
立ち上がるときに、一瞬無意識に膝を内側に入れがちになります。力が入りやすいので立ち上がりやすいのですが、膝に負担がかかりケガの原因になるので、膝を外に開いたまましゃがんで、開いたまま立ち上がります。立ち上がる時も常に背中の角度を一定にしましょう。

 

体型、柔軟性、スタンス、体を倒す角度は、人によって変わってくるので若干違いはありますがご参考ください。

ハイバーとローバー|スクワットでのバーベルの担ぎ方

スクワット 担ぎ方

自重でおこなうフルスクワットは、体の中心あたりが重心になるのでスクワットフォームはある程度決まっています。ですが、バーベルスクワット場合は、担ぐ位置によってスクワットフォームがハイバーとローバーの2種類の担ぎ方があります。

どちらをやればいいのかというと、トレーニングされる方の目的や好みによって変わりますので、それぞれ特徴を見ていきましょう。

ハイバー

  • 担ぐ位置 僧帽筋の上部
    (首を下に向けたときに一番飛び出る骨の下あたりが目安)
  • 特徴 
    上半身の前傾を抑え、腰の負担が少ない
  • 脚の前側
    (大腿四頭筋)を主に鍛えたい人に向いてます

ローバー

  • 担ぐ位置 
    三角筋後部の肩甲骨のあたり
  • 特徴   
    高重量を担ぎやすい(バーの位置が低くすることで、胴体が短いのと同じ状態になる)上半身の前傾が強く、フォームに慣れていないと腰を痛めやすいのでパワーリフティングなど高重量を挙げたい方に向いてます

バーベルスクワットに慣れていない方は、ハイバーの担ぎ方の方が腰の負担が少ないのでおすすめです。本格的に高重量にチャレンジするようになってから、担ぎ方をローバーに変えてみるというのも良いと思います。

バーベルフルスクワットの平均を知る

引用 strengthlevel.com

上図はstrengthlevel.comのスクワットの統計データの引用になります。ここではトレーニングレベルを初心者、初級者、中級者、上級者、エリートと各体重に合わせて熟練度を5つの部類に分けられております。

一例として、体重が70kgの方で 、スクワット113kgを1回でもできる(1RM)と中級者に分類されます。この図表を見ると、だいたい自分がどのあたりのレベルにいるのかおおよその目安になります。

※RMとはRepetition Maximumの略で、Repetition(繰り返し)Maximum(最大)。つまり繰り返しできる最大の重さを指します。例えば1RMはその人が1回“だけ”挙げられる重量のことを指し、同様に10RMであれば10回“だけ”挙げられる重量を指します。

また、もっと詳細にご自身のスクワットレベルを知りたい場合は、詳細ボタン(CALCULATOR)をクリックしてください。

一例として私の普段おこなうデータを入力してみました。

・男性 40歳
・体重70kg
・トレーニング種目 バーベルスクワット
・扱う重量 100kg
・回数 10回(10RM)

これらを入力して結果としてわかることは、トレーニングレベルは中級者であること、1RM133kgということがわかります。

バーベルフルスクワットの重量|目的別に設定

スクワットをウエイトの負荷を加えてトレーニングする場合、トレーニング目的によってレップ数(REP挙上回数)に合わせて最も有効とされる重量設定をする必要があります。

トレーニング目的
・筋力アップ
・肥大及び筋力アップ(ボディメイク)
・筋持久力アップ

「そこまで筋肉が大きくないのに力がすごく強い方もいらっしゃいますよね?」

そういった方は、筋量ではなく筋力が強く、トレーニング自体も筋力を強くするためのトレーニングを優先して重量設定をしている可能性が高いです。つまり、ボディビルダーの選手とパワーリフティングの選手では同じ筋肉に対してもトレーニングが異なってくるということです。

バーベルフルスクワットの重量設定|筋力アップ

筋力のアップを目的とする場合、扱う重量が重く(1RMに近く)その分挙上回数は少なくなる傾向にあります。具体的には1〜5回が最も有効な挙上回数とされています。これは1RMに対する重量比に直すと概ね87〜100%になります。

関節への負荷も大きく、あくまで物理的刺激を多く入れることが目的なのでインターバルを長く取り、しっかりと高重量を扱うことを意識します。

バーベルフルスクワットの重量設定|肥大及び筋力アップ(ボディメイク)

筋肥大に最も有効とされる挙上回数は6〜12回です。これは1RMに対する重量比に直すと概ね67〜85%になります。幅が広いですが、筋肥大を狙う場合には様々な刺激を対象筋肉に入れてあげることが重要です。

また、筋力アップ目的の6回に近い挙上回数であるほど筋力アップという面も兼ねています。筋力アップを狙う場合と比べるとインターバルは短め、また挙上のスピードは遅くなる傾向にあります。これは筋肉にしっかり効かせてネガティブ動作やパンプアップといった狙いも兼ねているからです。

バーベルフルスクワットの重量設定|筋持久力アップ

筋持久力の強化を狙う場合には12回以上のRMでトレーニングを行うようにします。

これは1RMに対する重量比に直すと概ね〜65%になります。回数を行うために扱う重量は比較的低くなります。また、回復も早いので高頻度で行うことが重要です。  

マラソン選手と短距離走の選手を比べると分かる通り、繰り返しが多くなればなるほど、筋肥大は起きづらく、細くて反復に強い筋肉ができます。

スクワットをサポートするトレーニングギア

バーベルフルスクワット 膝

より効果的にスクワットをおこなうためには、トレーニングギアを活用しない手はありません。さまざまあるギアの中でもバーベルスクワットをサポートするギアは以下の4つのギアです。

  • トレーニングベルト
  • ニースリーブ
  • シューズ
  • リストラップ

それでは、細かいポイントを見ていきましょう。

トレーニングベルト|腹圧を高め、腰を保護する

トレーニングベルト|腹圧

腹圧をかけて腰を守るトレーニングベルトは、バーベルスクワット初心者にこそ使用していただきたいギアです。

バーベルスクワットに慣れていない方におこりがちなことは

  • 腰に過度な緊張をかけた姿勢になり、フォームが不安定になる
  • てこの原理で、支点である腰にだけ大きな力がかかり、腰を痛めやすくなる

 

トレーニングベルトを巻く目的は、しっかり腹圧をかけてスクワットフォームを維持することです。トレーニングベルトを巻く効果に

  • 筋肉が動き出す初動の力が増し扱える重量アップができる
  • 耐久力のある状背部に支点が移り、腰椎への荷重負担が軽減されケガを防止

 

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ニースリーブ|スクワット専用の膝サポーター

ニースリーブは筒状になっている膝サポーターです。一般的な膝サポーターと違い、スクワットに特化したニースリーブは膝関節と股関節保護を目的としています。

スクワットをするときに、ニースリーブを履いてトレーニングをすることで、しゃがんだ時にニースリーブの反発力によって膝が伸びる動きをサポートしてくれます。特にフルスクワットなどの深く沈んだボトムからの切り返しが楽に感じてきます。

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ウエイトトレーニングに適したトレーニングシューズ

スクワットなどウエイトトレーニングをするときに、ランニングシューズのようなクッション性の高い靴でトレーニングをしていませんか?結論から言いますと、ランニングシューズは重量を扱うシューズとしては向いておりません。

ウエイトトレーニングのさい、ランニングシューズの特徴であるクッション性がデメリットになります。それは、高重量を扱うトレーニングにおいて、クッション性が高いと靴底が沈むために力が抜けやすい状態になるからです。床面に伝える力が逃げてしまうと体感のバランスが保たれず不安定になります。

では、どんな靴がスクワットに向いているのかというと、底が薄くて硬い靴やリフティングシューズです。

ジムシューズ
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リストラップ|手首を固定し担ぎを安定させる

リストラップの効果には高重量を扱うときに

  • 手首の保護
  • 手首を固める

筋トレBig3のベンチプレスでよく使用されるリストラップですが、スクワットにおいても手首を自然に寝かせた状態にキープしやすいので担ぎを安定させる役割があります。

リストラップおすすめ
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これまでのフルスクワットの記事で押さえておきたいポイント一覧表

項目リンク先
フルスクワットとは?
スクワットで鍛えられる筋肉
初心者向け自重で行うフルスクワット
ダンベルフルスクワット
フルスクワット|回数、重量設定

まとめ

フルスクワット 膝井

「バーベルフルスクワット|膝や腰を痛めないコツやパワーラックの使い方も解説」の記事はいかがだったでしょうか?

バーベルフルスクワットで膝や腰を痛めないコツは

・膝が極端に内側に入れないこと
・腹圧を高め、背中を丸めないこと
・サポートギアを活用すること
(リンクをクリックするとポイントに移動します)

バーベルフルスクワットはスクワットの中でも動員される下半身の筋肉の多く、さらにウエイトでの負荷も加わるハードなトレーニングです。本記事を参考にトレーニングの質と安全を向上していきましょう。


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